
先日、アメリカのAirbnb(エアビーアンドビー)でFriendly Building Programが開始されたとの報道がありました。この報道によると、マンションオーナーが民泊経営を許可することで、ホストの売り上げの一部がオーナーに還元されるというシステムのようです。
無断転貸に悩む日本のマンションオーナーにとって、これは大きなニュースになりそうです。現段階で日本での導入予定はないようですが、そのしくみと今後の展開を予想していきたいと思います。
無断転貸に悩むオーナーは日本だけではなかった
Airbnb発祥の国アメリカにおいても、無断転貸民泊はマンションオーナーの悩みの種だったようです。記事によると、アメリカのマンションオーナーの多くは「どんな人達が、何人で、どれだけの費用で、どんなルールで民泊として滞在しているのかが具体的に分からず不安だ」と以前から思っており、無断転貸民泊が発覚する度に賃借人とトラブルになっていたようです。このようなトラブルに悩まされる部分は、日本における無断転貸民泊も同じでしょう。
しかしその対策の方法が異なります。日本のように政府による新法の制定で対応するのではなく、別の方法を採択しているのです。その方法が、Friendly Building Programなのです。
不動産の所有者にも利益を還元しようという発想が、アメリカらしい対処の仕方として注目されます。アメリカでは、今まで不動産の所有者にとって何もメリットがなかったことが問題であったと解釈しているのでしょうか。
新プログラムの内容は?
アメリカで開始された新しいプログラム、Friendly Building Program。アメリカのAirbnbサイトで概要が大まかに説明されています。そのプログラムについて説明しましょう。
まず、マンションオーナーがAirbnbサイト内にあるこのプログラム専用のダッシュボードに登録します。そうすることで、オーナーは自己所有のマンションの賃借人がどのような条件でどのようにリスティング(民泊紹介)をしているのかがわかるようになります。
このプログラムでマンションオーナーは、独自の民泊ルール(人数制限、日数制限、ハウスルール)を作成することもできます。さらに、売り上げの5~15%がマンションオーナーに還元されるというメリットもあります。
もちろん、民泊運営を始めたいと思っている人は、オーナー許可物件として直接このサイトからその内容を閲覧できます。
日本での導入の可能性は?
では、日本でも同じプログラムがAirbnbで導入されることは可能なのでしょうか。
現在日本では、マンションオーナーが転貸での民泊を許可する場合は、事業用レベルの賃料設定か、それに近いくらいの家賃を得ている場合がほとんどです。
収益を上げる目的での民泊用賃貸では不特定多数の人の出入りがあるため、標準的な考え方でしょう。そのため、住居として借りたい人の賃料が少し上昇しているとの現象も見受けられます。
またさらに問題となってくるのが、特区民泊や制定が予定されている民泊新法との関係です。マンションオーナーがAirbnbサイト上で「このマンションは民泊OK物件です」と登録するだけでは、日本で合法的に民泊を経営して良いことにはなりません。
特区民泊物件として賃貸契約をするとしても、その認定基準をクリアしている物件である必要があります。
しかし法的規制をクリアして、掲載サイト上でもオーナーが民泊経営をマネジメントできるシステムが発展すれば、同じマンションに住む居住者や近隣の住民への理解も得られやすくなるのではないでしょうか。
たとえば、2016年10月31日に認定申請の受付が開始された大阪市の特区民泊ですが、初日は13室3業者からの申請にとどまり、一般からの申請は事前相談もいまだにないようです。オーナーが参入しやすいこのようなプログラムも、法整備と共に発展することが望まれます。
【オススメ記事】
・Airbnbホストは必見!泊まりたくなる部屋の紹介法
・大田区担当者に聞いてみた「民泊」の実態
・始めるまで分からなかった 不動産経営の意外な「良かった事」「苦労話」
・忙しいビジネスマンでも不動産投資ができる! サブリースの活用
・都心or地方!? どっちがお得? エリアによる利回りや価格、投資戦略