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大田区担当者に聞いてみた「民泊」の実態

Airbnb(写真=PIXTA)

持ち家の空き部屋や、保有するマンションの一室を宿泊用の客室として利用する「民泊」への関心が高まっています。訪日外国人の増加にともない、首都圏や全国の観光地で旅館、ホテルの稼働率が上昇する中、それらの不足を補う「民泊」の需要が増しつつあるのです。

一方で、現在の「民泊」は旅館業法に抵触する物件が多いともいわれています。旅館業とは、(1)宿泊料金を設ける、(2)寝具を使って宿泊させる、(3)継続して(繰り返し)営む業――を指し、これらを満たす場合は都道府県知事(
保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可が必要となります。

実際のところ、増えている「民泊」物件はWeb上のサービスに登録して宿泊者を募り、自宅等を貸し出していることが多いようです。継続性の有無もわかりづらいことから、「グレー(白黒が付かない)」とされています。まだ法整備が追いついていないのです。

東京都大田区は、国家戦略特区の枠組みの中で、個人宅やマンションの部屋に訪日外国人が宿泊することを認める旅館業法の特例を成立させ、2016年2月に全国初となる民泊物件を認定しました。これは全国に先駆ける規制緩和でした。その後の申請や相談の動向について、同区の生活衛生課に話を聞きました。

「民泊条例」施行後の申請相談は1,000件超

規制緩和の背景と目的を聞いたところ、「訪日外国人が増加して、旅館とホテルの稼働率が9割以上になっている。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて来訪者が増加する場合に旅館、ホテルの不足が見込まれている。羽田空港を有する大田区は国際都市として民泊の安全面、衛生面を整備して、地域の活性化を推進していく。」との回答でした。

では「民泊条例」成立後の申請状況はどうでしょうか。「6月8日時点で申請は17件。そのうち認定が17件」(同課)とのことです。認定された17件の内での客室数は44室です。申請についての相談件数は、施行日である1月29日以降に合計1,048件あったそうです(2016年6月8日現在)。

相談内容については、「条例施行前や、施行の直後は申請内容や、特区民泊自体についての問い合わせが多かったが、今は申請するための(具体的な手続きの)相談が多くなっています。」といいます。現在の相談内容からは、例えば消防法の基準を満たすなど、申請準備中の事業者が多いことが推測されています。

順調に「民泊条例」が浸透している中で、区として把握している民泊の問題点としては「騒音」「利用マナー」「ゴミの出し方」などがあります。近隣住民とのトラブルの元になりがちな事柄です。区運用では、大田区は特区民泊を営む事業者側に、近隣住民からの苦情窓口を設けることを義務付けています。

これにより、「どこに相談(または苦情)を訴えていいのか分からない」という近隣住民の疑問を解消するとともに、問題が生じた場合には、行政が是正のために立ち入ることができるようになりました。「行政として出向き、対面でしっかりと説明をすることでフォローしていく」と同区の担当者は特区民泊の安全面、衛生面を確保する姿勢を語っています。

「民泊」事故防止が最優先、認定基準は全国ルールに対応

大田区では、実際に近隣住民からの苦情は、どれ位あったのでしょうか?

「旅館業法違反への苦情は、これまでに20件。そのうち7物件が廃止となり、指導中が2物件」との回答です。大多数の民泊物件は大きなトラブルなく利用されているようですが、近隣から苦情が寄せられ、指導した後も改善されない悪質な物件は廃止となっています。

さらに同課は「大田区は確実に特区民泊の制度を作り上げていく。認定基準が厳しいという声があることは承知しているが、ハードルを下げることでトラブルが発生してはいけない。それにより『民泊はだめ』ということになると、失った信頼を回復するのは難しい。事故が起きないように、区の制度を実施していく」としています。

区が定めている特区民泊の泊数は「6泊7日以上」です。国家戦略特別区域法施行令で7日から10日までの範囲において、条例で定める期間以上であることとなっています。大田区は、7日から10日の範囲で一番短い期間を選択しました。

他方、厚生労働省の「『民泊』サービスのあり方に関する検討会」から、6月末を目処に、ホームステイ型を含む民泊の新しい制度について一定の方針が示される見通しがあります。この点について同課は「区としても整合性を見ていく必要がある」としています。この方針により通称「グレー民泊」の白黒が見えてくることが予想されるために、「区としても(方針に)対応できるように制度を整備していく」とのことです。

訪日外国人の増加を背景に、着実に利用者が増えつつある「民泊」。いち早く規制緩和に動いた大田区のモデルに見られるように、全国各地で安心して利用できる民泊物件が増えることを望みたいものです。

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